合格体験記
私は、今年の2月からメセナ予備校の一般・教職教養と、論文の2つのコースを受講し、高校農業の教員採用試験に合格することができました。
今までの採用試験では(今回は5回目)、独学で勉強をして挑戦していましたが、どうしても一般・教職教養に大きな課題が見られ点数を伸ばせず、つまずいていました。
1次試験初通過を確実にしたいという気持ちと、最終合格まで視野に入れ、1次試験通過後の模擬授業・論文を確実なものにするためメセナ予備校に通い始めました。
【学習の基盤】
平日は仕事が終わり次第、22時まで勉強。休日は図書館や公民館で午前中から夕方まで勉強した
後、夜はお家で勉強していました。日によっては集中できない日や眠ってしまうことももちろんありましたが、とにかく机には向かうようにしていました。
これを毎年10月頃から本番まで行っていました。勉強する範囲を何周できるかというのが、僕自身とても重要なことと考えており、とにかく勉強の時間を多く設けることを意識しました。
その中で私が大きな壁にぶつかったのが、一般・教職教養です。
一般教養に関しては、聞いたことも学んだこともない内容。
教職教養に関しては、あの長文の中からピンポイントで( )内の語句を答えるのは、私にとってはとても難しく、出題の意図もポイントも全く予想ができず、勉強の方法が見出せずにいました。
本県施策等もただ読んでいくだけで、当然本番では正解するわけもなく、結果を出せず、独学でやることに限界を感じていました。そこで考えたのが塾に通うことです。
いくつかの体験入校に通いましたが、そこで私に一番合っていると感じたのがメセナ予備校でした。
沖縄教育の背景や出題の意図、重要ワード、過去問から分析された次に出題すると考えられるワードなど、私がつまずいていた部分にピンポイントで私のために対策授業をしてくれているような感覚でした。それから入校を決意し、その年で合格をつかみ取ることができました。
【専門教養】
農業の分野はとても広く(農業基礎・畜産・造園・土木・草花・野菜・果樹・作物・測量・生物・食品・機械・植物バイオ・微生物・農業経営・沖縄の農業などその他多数)、各分野専門性がとても広く深いため、何周もすることで自身の覚えているところ、覚えていないところを確認しながら進め、長い時間をかけて覚えていない部分を少しずつ減らしていきました。
効率のよい勉強方法だったとは正直思えませんが、毎年の試験で必ず全く分からない内容の出題があったため、隅々まで勉強しなくてはならないという意識の下、勉強に取り組んでいました。
教科書の太字はもちろん、教科書の隅にある小さい文字の解説等もノートに赤ペンで書き記して赤い下敷きなどで赤字を隠し、確認などを行いました。
また、過去問から同じ問題が出題されることは基本ないため、その内容に関連することを深く掘り下げていきました。
【教職教養】
教養の勉強は基本的にメセナの授業時間だけで行い、後日その内容を復習するスタイルで取り組みました。先生方が教えてくれる出題が予想される部分には付箋紙を張り、蛍光ペンでマークするなどして、復習の際に重要な部分のみを復習できるようにしました。
また、最後の出題予想問題集は何度も解くようこころがけました。
教育原理ではスマートフォンの暗記カード読み上げアプリで、人物とその人物が行ったことを作成し、車の中でずっと流して覚えました。
【論文】
2月から、論文の講座を受講し、週に一つのペースで課題に取り組み、添削指導を受けました。
4月に入ってからは、津覇先生に相談し、授業は受講するが、課題提出はストップし、1次試験までは1次試験の勉強に専念したいことを伝えました。
それに加えて、私の今までの添削していただいた論文の能力で、1次試験終了後に取り組んでも間に合うかを確認しました。そこで津覇先生から「あなたなら大丈夫」とお言葉をいただき、論文は授業に参加するだけで、課題の取組はいったんストップしました。
1次試験終了後、2次試験の実技対策も行いながら、論文の課題にも再度取組み、最低でも週に2枚、2次試験終了後は1日に1枚や2枚に取り組み、津覇先生に何度も添削をお願いし、やっとそこで初めてA評価をいただけるようになりました。
私が本番に用意した内容は
① 「問い」が生まれるサポートガイド
② 豊かな心を育む指導道徳教育
③ 教員の資質能力の向上
の3つに絞り、それぞれの論文を津覇先生の指導のもと完成させ、本番では完全コピーで記入できるようにしました。
実際に平静31年度実施3次試験では、「いじめについて未然防止が求められている。教科指導・担任指導で書きなさい」というようなお題だったため、②の豊かな心の育成で書きました
【面接】
私が面接で意識したことは、まず初めに「楽しむこと」。
そして、面接官と「良好なコミュニケーションを取ること」を意識しました。
なので、あまり解答対策でハッキリとした文章は作らず、私自身の素の感情が出せるよう意識し、この質問が来たら、こういった答えにしようぐらいで止めていました。(志望動機・自己PR・最後の一言はある程度文章は考えました)
メセナの初めての練習で、解答例を全部作って望んだ結果、覚えたことを言おうとして、全く会話にならず、覚えた内容も忘れてしまうなど、厳しい評価をいただきました。
そこで自分にこのスタイルは合わないと感じ、質問に対して、素で自分の考えを言おうと考えました。その結果、2回目の練習では、ほぼ満点の評価をいただき、本番でも3人の面接官とお互いに笑顔で会話できるような面接ができました。
このやり方が正しいとは一概に言えないかもしれませんが、私の中で「面接」とは自分という人間性をアピールすることだと考え、素の感情を出すため、1回目の練習以降、解答対策文書を見るのをやめました。それがとてもプラスに働いたような気がします。
これから取り組まれる皆さんも、自分に合ったスタイルを確立し、面接官が「この人を合格させたい」と思わせるような面接ができるように頑張ってください。
模擬授業
教科「農業」の模擬授業は毎年農業の基礎である。「農業と環境」という科目から出題されています。
しかし、今年から今までの過去問と大きな変更点がありました。今までは「科目「農業と環境」の〇〇について出題する」とありました。〇〇には、「肥料」について、「栄養素」についてなど、ある程度範囲が指定されていましたが、今回はその〇〇が無く、「科目「農業と環境」から出題する。」という範囲でしか指定されていませんでした。「農業と環境」の教科書は約200Pほどあり、この中から、対策を練るのはとても難しかったです。
そこで私は新学習指導要領で農業の全ての科目に導入された「プロジェクト学習」について出題されるのではと考え、対策をしていましたが、本番では大きく外れ、「大根の播種について一倍最初の座学を行いなさい」というお題でした。
出題者の意図としては2次試験の実技で行った「大根の種を正しい方法で播種しなさい」に関連させてきたのだと考えられます。
予想とは大きく外れましたが、メセナ予備校での模擬授業対策で、板書事項の型は作っていたので、そのままの型を活用しました。
また、本番当日に、雨が降っていたので、「今日は大根の播種をする予定でしたが、雨が降っているので、今日は大根の播種方法を皆で考えながら勉強してみようね」と伝え、環境の状況に合わせた、授業展開にしました。(これが良かったかは分かりません)また、電子黒板を使って、去年の先輩方が大根を収穫する時の写真を見せて、「皆さんが先輩方のような大根を収穫するには、どういった播種の仕方がいいかなー?」と考えさせるようにしました。
生徒に相談させる時には、隣同士ではなく、席の前後で相談させ、相談終了後に、切り替えがすぐできるよう意識した。(隣同士だと相談終了後にも会話をしてしまう可能性があるため)
最後の質問で、「わかる授業」のポイントはなんですか?という質問では、「電子黒板を使用し、収穫の完成形を生徒に見せることで、イメージを浮かばせやすくし、ゴールを写真で明確化させたことです。」と回答した。
最後に
今回私が教員採用試験に合格できたのは、本当にラッキーだったと考えています。
もちろん誰よりも勉強してきた気持ちはありましたが、それでも所詮は自分なのだと心の奥底では思っていました。
どういうことかというと、このようなことを言うのは間違っているかもしれませんが、私は農業高校出身で、特別成績も優秀ではありませんでした。何とか努力し大学にも進学でき、教員免許も取得してきましたが、私の周囲の友達や先輩・後輩は、私が覚えるのに1週間もかかるような内容を1日で覚えるなど、そういった学力以前の能力の差を感じる経験がたくさんありました。
「自分は勉強が得意ではないから、通常の人より倍以上やらなくてはならない」と常に言い聞かせていました。
高校時代に出会った先生方は「勉強ができるから先生になった」「教えるのが好きだから先生になった」というよりも、生徒のために努力し、喜びを共有することにやりがいや幸せを感じているのだととても感じました。
その先生方を見たときに勉強がそこまで得意ではなかった私も、「教師」になりたいと夢を持ち始めました。
教員採用試験でも、レベルの高い名門の普通高校出身の受験者が数多くいて、私がこの方達と肩を並べて同じ内容の試験で勝負すると考えたときに、正直、「勝てるわけがない」と感じていました。
それでもなぜか「教師」を諦めようとは一度も思いませんでした。勉強の時間だけで見てみれば、とても多くの時間を費やしてきたと思います。とても辛かったです。今回幸いにも運よく合格ができ、「私でもやればできる」と大きな自信に繋がりました。
私がこうして頑張れたのは、私に関わってくれた全ての人たちの支えがあったからだと思います。
家族・友達・高校時代の先生・臨時任用時代に関わってくれた同僚の先生方や生徒、そして、私の教員採用試験合格を実現させてくださったメセナ予備校の先生方。本当にありがとうございます。
これからはこの感謝の気持ちを本県教諭として、「生徒のため」を念頭に生徒たちに還元していきたいと思います。